冬キャンプの快適性を上げるためには、テントやストーブに加えて、寝具選びも重要です。
シュラフを単独で使用するのではなく、インナーシュラフの併用を検討しましょう。
この記事では、インナーシュラフの特徴や選び方のポイントを紹介します。
インナーシュラフとは
インナーシュラフはインナーシーツとも呼び、その名のとおりシュラフ(寝袋)の中に敷くシーツのことです。
ちなみにシュラフの外側にかぶせて使用するタイプもありますが、シュラフカバーまたはスリーピングカバーと呼ぶ別物で、用途が異なります。
キャンプでインナーシュラフを使用する目的は、次の3つがあげられます。
保温性を高める
インナーシュラフを使用すると、シュラフにもう1枚加えた状態になります。
空気の層ができ、寝るときに保温性を高めてくれる仕組みです。
また、自分の体温がインナーシュラフの内側で循環するので、熱が逃げにくく暖かい空間ができます。
保温性を高める目的で、インナーシュラフではなく毛布を使用するキャンパーもいます。
しかし厚みのある毛布は内側で熱の循環が起きにくく、あまり温かくならないのが現実です。
インナーシュラフは毛布と比べると薄手なので熱の循環に適しており、シュラフの中が窮屈にならないメリットもあります。
快適性を高める
シュラフとの間に層を一枚増やすことで、結露対策にもなります。
キャンプ場は朝晩の気温差が激しく、結露ができるような場所が少なくありません。
結露ができるとシュラフ内が湿って不快になりますが、インナーシュラフがあると和らげてくれます。
結露でシュラフ内部が濡れると、冬場のキャンプは寒くなります。
寒さ対策にダウンタイプのシュラフも魅力的ですが、厚みがあるとゴワつきが気になることがあり、快適とはいえません。
ゴワゴワした肌触りや、シュラフ特有の質感が苦手な人は、フリースなどやわらかい素材のインナーシュラフを使うと快適に眠れます。
汚れ防止
インナーシュラフは、汚れ防止の役割も担っています。
シュラフの中で汗をかいたり結露ができたりすると、生地が汚れて傷みの原因となります。
インナーシュラフを使用すれば、多少の湿気や汚れなら吸収してくれるので、羽毛たっぷりのデリケートなダウンシュラフも問題なく愛用できます。
ダウンシュラフを使用している場合、インナーシュラフがない状態で使うと皮脂汚れによってダウンが劣化し、保温性などの品質が保てません。
自宅で洗濯できるといっても、ダウン専用の洗剤を使用したり個別に毛布モードなどで丁寧に洗ったりと、何かとメンテナンスに手間がかかります。
メンテナンスの手間を軽減させるためにも、インナーシュラフの併用で汚れを可能な限り避けることが大切です。
インナーシュラフの種類
インナーシュラフは、大きく分けて「マミー型」と「封筒型」の2種類です。
- マミー型:頭まで包めるものが多く、保温性が高い
- 封筒型:圧迫感が少なく、布団で寝るような感覚を味わえる
インナーシュラフを購入するときは、使用しているシュラフの形状と同じタイプを選ぶのが一般的です。
異なるタイプのインナーシュラフも使えないわけではありません。
しかし、形状が合わず内部で余った部分がゴワついたり、窮屈な寝心地になったりするので、わざわざ異なるタイプを選ぶメリットはないといえます。
シュラフとセットで購入するなら、保温性重視の方にはマミー型、寝返りを打つ余裕がほしい初心者さんには、封筒型がおすすめです。
形状の他には、素材にも注目しましょう。
インナーシュラフの素材にはいくつかの種類があり、目的や予算などの条件に応じて選べるようになっています。
主な素材は、下記の4種類です。
- フリース
- コットン
- ポリエステル
- シルク
それぞれの特徴を詳しく解説します。
フリース
保温性に優れており、薄くても温かい素材です。
通気性や吸水性も良く、手触りがなめらかで寝心地が良いのも魅力です。
ジッパーで筒状にするタイプなら、就寝時以外は広げてひざ掛けにするなど、さまざまな使い方ができます。
フリースの欠点は、ふんわりとした質感の生地で、折り畳むとかさばりやすいことです。
コンプレッション袋で圧縮して持ち歩ける商品なら携行性の問題も解決でき、便利さのみが残ります。
コットン
天然素材で保温性に優れており、薄くても温かいのが特徴です。
通気性や吸水性も良く、夏はシュラフを使わずコットン性のインナーシュラフだけで眠る方もいます。
タオルや肌着に使用されることの多いコットン素材なので、肌触りも気持ち良く、質感を重視する方にも適しています。
結露もできにくいので、冬キャンプも快適です。
コットンの欠点は、重量があることです。
吸水性が良いので、汗や水を吸うとさらに重くなります。
登山など天候が変わりやすい環境では、コットン系のインナーシュラフの使用は慎重に検討しましょう。
ポリエステル
軽量で持ち運びやすいのが特徴の素材です。
生地内の水分量が少なく、濡れても乾きやすいので夏場など汗をかきやすい時期の使用に適しています。
夏場はシュラフを使わず、ポリエステルのインナーシュラフだけでも眠れます。
化学繊維らしい耐久性もあるので、お気に入りの商品を長く愛用できる点もメリットです。
ポリエステルといっても裏起毛タイプの商品も多いため、肌触りを重視する方も快適に使用できます。
デメリットは、化学繊維ゆえに冬場は静電気が起こりやすいことです。
シルク
通気性、吸水性、保温性に優れている素材です。
肌触りが滑らかで、気持ちよく眠れます。
シルク糸はタンパク質でできているため人の肌に近い感触で、敏感肌の人でも使いやすいメリットがあります。
オールシーズンで使いやすく、化学繊維のような静電気の心配もありません。
シルクの欠点は、デリケートな素材なのでメンテナンスに気を遣うことと、他の素材に比べて高価な商品が多いことです。
自分に合った形状や使い心地のインナーシュラフを理解し、「そろそろ長く愛用できる高級ラインを試してみようかな」と考えている方におすすめです。
インナーシュラフを選ぶときのポイント
インナーシュラフは、多くのメーカーからさまざまな商品が販売されています。
購入時は用途に合わせて素材や機能などさまざまな要素に注目することが、最強のインナーシュラフを手に入れるコツです。
自分に合ったものを購入するために、重視したいポイントは下記のとおりです。
- もっているシュラフ内に収まるサイズか
- 持ち運びやすい収納サイズ・重量か
- 通気性・吸湿性・保温性は高いか
- 寝心地は良いか
- 長く使用できるか
持ち運びやすい収納サイズ・重量は、ほかのキャンプギアも考慮して考えましょう。
バックパックのみで野宿するなど、荷物を最小限に抑えたいソロキャンプなら、大きなものや重いものは購入を避けるべきです。
長く使用できるインナーシュラフとは、耐久性だけの問題ではありません。
収納サイズや重量、素材はもちろん、使い勝手の良さも重要です。
たとえば出入りしやすい、メンテナンスしやすいタイプなら、ストレスを感じることなく長く使い続けられます。
出入りのしやすさを重視する場合、ファスナータイプがおすすめです。
【目的別】おすすめのインナーシュラフ
ここからは、インナーシュラフの選び方で悩んでいる方へ、おすすめの商品を目的別に紹介します。
今回は、下記の4パターンに分けました。
- ソロキャンプ向き
- 冬場のキャンプ向き
- 登山・山でのキャンプ向き
- 寝心地を重視したい人向き
それぞれ詳しく解説します。
ソロキャンプ向き
バックパックやバイク、自転車などで行くソロキャンプの場合、荷物を少しでも少なくしたいのが本音でしょう。
シュラフ自体まだ購入していないなら、インナーシュラフもシュラフもマミー型がおすすめです。
封筒型に比べると、マミー型はコンパクトに収納できるメリットがあります。
ただし足元が細いので、人によっては窮屈に感じる可能性がある点は要注意です。
寝心地も重視したいなら、封筒型も選択肢に加えましょう。
ホロムア(HOLOMUA)インナーシュラフ
サイズ | 約210cm×150cm |
収納サイズ | 約25cm×20cm×5cm |
重量 | 395g |
素材 | ポリエステル |
日本キャンプ協会の正規の講習を修めた、アウトドア知識を有するインストラクターが監修したインナーシュラフです。
工場との連携でこまかな修正を繰り返し、ダブルファスナーを採用したことでスムーズな開閉を実現しました。
丁寧な検品体制と独自の365日メーカー保証もあるので、万が一不良品に当たったとしても即座にサポートしてもらえます。
ネイビー・カーキ・グリーン・ピンクの4色展開で、シュラフ本体との組み合わせでさまざまなカラーバリエーションが楽しめます。
シートゥーサミット(SEA TO SUMMIT)サーモライトリアクター コンパクトプラス
サイズ | 約183×90cm |
収納サイズ | 約11×15cm |
重量 | 263g |
素材 | サーモライト |
同メーカーの従来品(399g)よりも、軽量でコンパクトな仕様として開発されました。
2種類のサーモライトファブリックを組み合わせることで、優れた保温性を実現しています。
人間工学にもとづいたデザインで、軽量化しつつ十分な機能を残しているのも特徴です。
縦方向のサイズを考慮すると、身長180cmまでの人向けといえます。
素材由来のサラサラとした手触りが心地良い一方、すべりが良いのでセッティング時は注意が必要です。
冬場のキャンプ向き
冬場のキャンプは、立地や天候によっては氷点下になることも多いため中級~上級者以上の方向けです。
しっかりと体を温めるには、首回りも保温できるインナーシュラフがおすすめです。
通常より長めに作られているロングタイプなら、余った分で首回りを包めるので温もりがアップします。
さらにボアフリースならフカフカしており空気を多く含む分、保温性が高いのもポイントです。
ダウンを使用した商品の中にも洗えるタイプがあるので、暖かさ重視で検討してみてはいかがでしょうか。
ベアーズロック(Bears Rock)くるむん ボアフリースロング
サイズ | 約240×75cm |
収納サイズ | 約40×20cm |
重量 | 1.25kg |
素材 | ボアフリース生地(ポリエステル) |
広島県のアウトドアブランドが発売している、ボアフリースのインナーシュラフです。
サイズがとにかく長い&伸縮性ありの生地で、首回りをしっかり覆えます。
高身長の人でも使いやすいサイズなので、幅広い層に向いています。
ただし厚みがある分、収納サイズも大きくなりやすいので荷物量には注意しましょう。
リツメ(Litume)オールシーズン対応 寝袋インナーシュラフ
サイズ | 約215×80cm |
収納サイズ | 約16×11cm |
重量 | 395g |
素材 | マイクロフリースベロア |
台湾のアウトドア用寝具メーカーによる、台湾製のインナーシュラフです。
正式名称は「8°Cまでに向上 マミー型 寝袋インナーシュラフ 静電気防止ベロ バックパッキング、キャンプと旅行用 引き紐フード付きの軽量寝袋」です。
フード部分をコードロックで固定できるので、耳や首回りをしっかり包めるうえ、通気性もあるので口元まで覆って眠れます。
収納袋は撥水加工を施しているので、天気が不安定な時期も安心して持ち運べます。
登山・山でのキャンプ向き
登山時は防寒対策も重要ですが、荷物を余計なものでかさばらせないことが大切です。
コンパクトなインナーシュラフなら荷物になりにくく、自宅洗濯が難しいシュラフカバーに比べるとメンテナンスしやすいものが多いメリットもあります。
防虫対策生地、薄手でも通気性や保温性に優れたものなどもあるので、自分が重視することを基準に選びましょう。
キャプテンスタッグ(CAPTAIN STAG) サーモライト インナーシュラフシーツ
サイズ | 約90×210cm |
収納サイズ | 約11×17cm |
重量 | 330g |
素材 | ポリエステル100% |
生地はインビスタ社の保温性化学繊維「サーモライト」を使用しており、繊維の中に空気を取り込む構造なので暖かくなります。
伸縮性もあるので、寝相が気になる方でも快適に眠れます。
手触りが良いのでインナーシュラフとしてだけではなく、夏場は単独で寝袋代わりに使うのもおすすめです。
畳むとコンパクトになり、登山時にもかさばりません。
フォックスファイヤー(Foxfire)SCボックスシーツ
サイズ | 約215×80cm |
収納サイズ | 非開示 |
重量 | 340g |
素材 | トランスウェット®スコーロン®(ポリエステル) |
こまかな穴が開いた特殊な生地により、通気性アップを実現しました。
吸汗速乾に優れているうえ防虫対策を施した生地なので、夏場の山での使用にもおすすめです。
適応身長190cmまでと、高身長の人でも使いやすいサイズなので幅広い方に向いています。
寝心地を重視したい人向き
寝心地はフカフカ感、吸湿性、保温性、肌触りなど、さまざまな要素から決まります。
素材の傾向で考えると、特徴別に下記のとおり分けられます。
- 寝汗が多い人→コットンがおすすめ
- 保温性を重視したい人→フリースがおすすめ
- 肌触りにこだわる人→シルクがおすすめ
他にも防虫機能などメーカーオリジナルの機能がついたものもあるので、季節や寝るときの悩み、優先したいことを考えて決めるとベストな1枚に出会えます。
ロカココ(Rocacoco) インナーシュラフ
サイズ | 約200×80cm |
収納サイズ | 約9×19cm |
重量 | 450g |
素材 | ポリアミド繊維、弾性繊維 |
ポリアミド繊維80%と弾性繊維生地20%の配合で伸縮性があり、寝返りが打ちやすいインナーシュラフです。
保温性はさほど高くないので、シュラフの汚れ防止や寝心地重視の方向けです。
薄手なので、シュラフ本体の性能に影響しにくいメリットもあります。
また価格も安く、気軽にインナーシュラフを試したい方も、最初の1枚として選んでみてはいかがでしょうか。
ロゴス(LOGOS) 抗菌防臭シルキーインナーシュラフ
サイズ | 約210×84cm |
収納サイズ | 約9×17cm |
重量 | 360g |
素材 | 抗菌防臭シルキーモイスクロス(シルク) |
Dupont社の抗菌処理技術Silvadurによる、抗菌効果と防臭効果が期待できる生地を使用しています。
肌触りの良いシルク素材なので、快適に眠れます。
保湿性・吸湿性・吸水性に優れており、インナーシュラフとしてだけではなく、シュラフカバー代わりにアウターとしても使えます。
まとめ
お気に入りのシュラフを長持ちさせたい方は、インナーシュラフの併用がおすすめです。
保温性や吸湿性のある素材で、肌寒い時期も快適に眠れるうえ、シュラフが汚れるのを防いでくれます。
防虫性能や繊維レベルで保温効果が高いものなども販売されているので、シチュエーションや用途に合わせて最強のシュラフが見つかります。
シュラフは手洗いできるものもありますが、メンテナンス方法を間違えると中の羽毛がゴワついて寝心地が悪くなります。
気軽にジャブジャブ洗えるインナーシュラフを活用して、寝心地をアップさせつつ大切なシュラフを長持ちさせましょう。