キャンプ時は自然の厳しさを楽しむほか、最低限の電源を確保して自由度の高さを楽しむスタイルもあります。
携行性の高いポータブルバッテリーなら、荷物の多い冬キャンプやファミリーキャンプでも問題なく持ち込めます。
この記事では、キャンプにポータブルバッテリーを持参すると何ができるのか、購入時にチェックすべきポイントとともに解説します。
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ポータブルバッテリーの特徴
ポータブルバッテリーはポータブル電源とも呼び、持ち運びできる大容量蓄電装置をさします。
リチウムイオン電池、リン酸鉄リチウム電池、リチウムポリマー電池など充電式電池を使用しているのが一般的です。
ポータブルバッテリーと混同されやすいアイテムが、発電機です。
発電機はその場で発電しながら電源供給する機械のことで、蓄電させて使用するポータブルバッテリーとは、そもそもの用途が異なります。
電源のない場所で使用できるメリットはポータブルバッテリーと共通している一方、発電機は構造上、音や排気が気になるというデメリットもあります。
ポータブルバッテリーはあらかじめ充電した状態で持ち込むので、音や排気に悩まされません。
発電機のように発電用のエネルギー(ガスボンベ)などを持ち込む必要がなく、荷物も最小限に抑えられます。
モバイルバッテリーとポータブルバッテリーの違い
携行性の高いモバイルバッテリーとどちらを持って行くか、悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
モバイルバッテリーもポータブルバッテリーも、屋外など電源がないところで電気を使える点は同じです。
違いは充電できる電池の容量で、一般的に、ポータブルバッテリーのほうがモバイル電源より多い傾向にあります。
広く流通しているモバイルバッテリーは、スマホを2回程度しか充電できません。
一方、ポータブルバッテリーは多く蓄電できるので、キャンプ用としてだけではなく、非常時用としても心強い存在です。
また、搭載されている出力端子の種類が違うのも特徴です。
モバイルバッテリーはUSBのみのタイプが多いのに対して、ポータブルバッテリーは家庭用電源にも対応している機種がいくつも販売されています。
扇風機など普通家電を持参できるほか、中にはシガーソケットがあるタイプも販売されています。
規制の関係により、モバイルバッテリーは最大出力が小さく、使える電化製品が限られることもポータブルバッテリーとの差です。
キャンプにポータブルバッテリーがあるとできること
ブッシュクラフトなど、可能な限り自然界にある素材のみで生活する不便さを楽しみたいという方は、ポータブルバッテリーがなくともキャンプを楽しめます。
利便性を上げつつ、適度に自然を楽しみたい方は、ポータブルバッテリーの持参がおすすめです。
キャンプ場にポータブルバッテリーを持ち込むとできることを、4つ紹介します。
ワーケーションなどPCでの作業ができる
ワーケーションとは、リゾート地などでバケーションを楽しみながら仕事も進めることで、ワークとバケーションを掛け合わせた造語です。
近年は「忙しいが、自然の中で癒されたい」という人にワーケーションが高い人気を集めています。
PCとポータブルバッテリーがあれば、キャンプ場でもワーケーションできます。
ポータブルバッテリーなら出力端子の種類はもちろん、PC用の電源としても十分な容量があるので、自然界で過ごしつつ仕事も進めたい方に最適です。
PC以外のガジェット類も充電できるので、キャンプ場で端末を使用した遊びもしたい人にも便利です。
仲間や家族とゲームを楽しむほか、SNSや動画サイトに投稿するための動画撮影もできます。
暑さ・寒さ対策ができる
真夏や真冬のキャンプ、天候が変わりやすい場所でのキャンプにもポータブルバッテリーがおすすめです。
大容量なので長時間、扇風機やサーキュレーター、電気毛布を使えます。
オイルを燃やさない電気タイプの暖房器具なら、ストーブなどのように一酸化炭素中毒も心配ありません。
小型の扇風機やサーキュレーターなら消費電力も少ないので、テント内で一晩中使えます。
料理の幅が広がる
キャンプ時に困るのが、火口の少なさです。
大人数でのキャンプの場合、バーベキュー用グリルで一度に調理する手もありますが、帰る日の朝に使うと後片付けが面倒になります。
ソロキャンプは基本的に焚火台などソロ用サイズになるので、鍋を何個も使えません。 一品作ってから新しく一品を調理することになるので、先に作った料理が冷めてしまいます。
しかしポータブルバッテリーと小型の炊飯器を持参すると、火口が増えるので料理の幅が広がります。
パン派の人はホームベーカリーを持参すれば、焼き立てパンを大自然の中で食べられる贅沢も楽しめます。
食材を最適な温度で保管できる
夏場のキャンプで心配になるのが、食材の腐敗や菌の増殖です。
わずかな時間でも、暖かい場所に置くと食中毒を招く菌が増えるおそれがあります。
ミニ冷蔵庫や冷凍庫とポータブルバッテリーがあれば、冷たい状態で保管でき、雑菌が増えにくい環境を維持できます。
長時間保管しても、アイスクリームが溶ける心配もありません。
クーラーボックスは氷や保冷剤を入れる必要がありますが、ポータブル冷凍庫なら用意するものは電源だけです。
また、近年はポータブルサイズでも氷を作れるタイプのミニ冷凍庫もあります。
スイッチひとつで保冷・保温を切り替えられる温冷庫とポータブルバッテリーを組み合わせれば、冬場の寒い時期には飲み物・食べ物を温かい状態で保管でき、一年中活用できます。
キャンプ向けポータブルバッテリーの選び方
ポータブルバッテリーはさまざまな容量・サイズの商品が販売されており、搭載されている機能によっても利便性は大きく異なります。
ここでは、キャンプなどアウトドアでの使用を想定した場合の、ポータブルバッテリーおよびポータブル電源の選び方を紹介します。
充電の容量で選ぶ
まず注目すべきポイントが、充電できる最大容量です。
ポータブルバッテリーの容量は、Wh(ワットアワー)の表記をチェックしましょう。 Whは、電化製品のW数×h(時間)を表した数値です。
30whと書かれていれば、30wの電化製品を1時間(30w×1h=30wh)使用できることを意味します。 キャンプ場で使用したい電化製品のw数の合計を目安に、自分に合った容量のポータブルバッテリーを購入しましょう。
注意点は、使用したいwh数ギリギリのものを購入しないことです。 実はポータブルバッテリーからAC出力できるように電力を変換するとき、DC-AC変換効率の影響で70%~90%程度しか出力できません。
最終的に出力できる電気の量は、DC-AC変換効率の数値をチェックすると分かります。 同じ容量でも、DC-AC変換効率が低いポータブルバッテリーを使用すれば、少ない電力しか出力できないので注意が必要です。
容量の100%使用するつもりで選ぶのではなく、余裕をもって選ぶことがキャンプを快適にするコツです。
必要な出力で選ぶ
ポータブルバッテリーは、出力できる電力量やポートの種類なども重要です。
出力面でチェックするべきポイントとして、定格出力、出力ポート、出力波形の3つがあげられます。 それぞれ詳しく解説します。
定格出力の大きさ
安定して出力し続けられる電力量のことを、定格出力と呼びます。
基本的に、使用したい電化製品の消費電力よりも定格出力が大きいポータブルバッテリーでなければ、電化製品は使用できません。
キャンプ場に持ち込む予定の電化製品について、あらかじめ消費電力を把握しておくと、ポータブルバッテリー選びの参考になります。
主な電化製品の消費電力に関する目安は、下記のとおりです。
電化製品 | 消費電力の目安 |
炊飯器 | 1,300w程度 |
ドライヤー | 1,200w程度 |
電気ケトル | 1,000w程度 |
電気毛布 | 80w程度 |
扇風機 | 30w程度 |
上記の数字は、あくまで目安です。
厳密な消費電力は購入したor購入予定の電化製品のスペック表を商品パッケージや説明書などで確認しましょう。
出力ポートの種類
出力ポートは、ポータブルバッテリーに溜めた電気を出力するときに使用する、コンセントなどの端子のことです。
基本的にはACポート、DCポート、USBポートの3種類があげられます。
- ACポート:家庭用コンセントと同じタイプ
- DCポート:シガーソケットと同じタイプ
- USBポート:スマホなどのUSBケーブルと同じタイプ
使用したい電化製品の電源コンセントと、ポータブルバッテリーに搭載されている出力ポートの種類が合っているか確認します。
複数のガジェットや電化製品を使用する予定がある場合、設置されている出力ポートの数も重要です。 販売されているポータブルバッテリーの中には、国内向けではなく海外製品が含まれていることもあります。
海外製品のポータブルバッテリーを購入する場合、出力ポートの電圧・周波数が日本の電化製品と合っているかどうかも確認してください。
日本の電化製品では電圧100V、周波数は東日本50Hz、西日本60Hzが採用されています。
出力波形
ポータブルバッテリーの場合、出力波形が矩形波、修正正弦波の場合があります。
出力波形とは、ポータブルバッテリーに溜めた電気を、出力ポートから供給できるように変換したときの波形のことです。
一般的に電力会社から家庭へ供給されている電気は正弦波となっているため、さまざまな電化製品を使用できます。
しかしポータブルバッテリーの場合、内部のインバーターで変換するときに必ずしも正弦波になるとは限りません。
ポータブルバッテリーの出力波形が矩形波または修正正弦波の場合、一部の電化製品しか使用できない可能性があります。
ランタンなどシンプルな機能のものは使えることがほとんどですが、複雑な機能のものなどは給電が難しいといえます。
使用する電化製品によっては、出力波形が矩形波や修正正弦波のポータブルバッテリーでも問題ありません。
いろいろな電化製品を使用したい方は、ポータブルバッテリー選びを慎重に行いましょう。
充電方法で選ぶ
どのポータブルバッテリーにも共通するのが、一般家庭の電源コンセントから充電できることです。
キャンプなどのアウトドアや非常用電源として使用する場合、ほかにも充電方法が確保できると利便性がアップします。
最近はソーラーパネル搭載タイプや、車のシガーソケットから充電できるタイプもあるので、用途や予算と相談して検討してみてはいかかでしょうか。
蓄電池の種類で選ぶ
用途に合わせて、蓄電池の種類に注目する選び方もあります。 ポータブルバッテリーに搭載されているのは、主に下記3種類の蓄電池です。
- 鉛蓄電池:安価で安定性に優れている
- ニッケル水素電池:過放電や過充電に強い
- リチウムイオン電池:急速充電できる
現在はゲーム機やスマートフォンにも採用されている、リチウムイオン電池が主流です。
リチウムイオン電池そのものにも複数の種類があり、中には繰り返し充電すると100回前後で劣化しやすいものもあります。
リン酸鉄リチウムイオンなら100回以上の充電にも耐えられますが、高価なので慎重に選びましょう。
まずは安価なものを購入して、実際にどの程度使うか体験してから、買い換えのタイミングでより高性能なポータブルバッテリーを検討するのもおすすめです。
機能で選ぶ
利便性を重視するなら、付随する機能も重要です。
ポータブルバッテリーの中には、基本的な蓄電・給電機能に加えてさまざまな機能を搭載したタイプがあります。
どのような場面で使用するのかを前提に機能も吟味すると、ますます利便性が増します。
キャンプで使うなら、たとえば下記の機能があると便利です。
- 防水機能
- 防塵機能
- ライト機能
- パススルー機能
晴天時を選んでキャンプしても、早朝や夜間の露で湿気ったり、突然の雨で濡れたりするおそれがあります。 野外で使うことを考えると、防水と防塵の機能があると心強くなります。
パススルー機能とは、接続しているアイテムとポータブルバッテリーを同時に充電できる機能です。 たとえばスマートフォンやゲーム機なども充電してキャンプに持参したい場合、パススルー機能が役立ちます。
パススルー機能つきのポータブルバッテリーなら、少ないコンセント数でも出力ポートを介して同時に充電できます。
上記のほかにも、車でキャンプ場に行くなら、ジャンプスターター機能もあるとバッテリーが上がったときに助かります。
おすすめのポータブル電源・ポータブルバッテリー
最後に、キャンプ用途で購入を検討している方へ、おすすめのポータブル電源について紹介します。
Jackery(ジャクリー)
Jackeryポータブル電源240(シリーズ中、もっとも軽量タイプ)
容量 | 200Wh |
定格出力 | 200W |
出力ポート |
AC×1 DC×1 USB×2 |
AC充電 | 5.5時間 |
ソーラー充電 |
1×100W:4.5時間 1×60W:7時間 |
出力波形 | 正弦波 |
重量 | 3.1kg |
サイズ | 230×133×167mm |
日数の目安 | 1日~2日 |
Jackery(ジャクリー)のポータブル電源は、小型から大型まで幅広いバリエーションがあることが特徴です。
ここでは、シリーズ中もっとも小型で携行しやすい【Jackeryポータブル電源240】について紹介します。
Jackeryのポータブル電源は保証期間が3年または5年に設定されており、3年の商品は会員登録で最大5年までメーカー保証を延長できます。
会員登録の特典は保証期間延長に加えてポイント制度やクーポン発行、ポータブル電源のメンテナンス時期のお知らせなど、さまざまです。
買い物でたまったポイントは、オンラインショップのギフトカードやポータブル電源の延長コードに交換できます。
小型といってもキャンプ1~2日程度なら十分な容量があり、55Wの電気毛布でも約4時間はもちます。
公式サイトでは、古くなったJackeryのポータブル電源を無償回収しているため、廃棄する段階になったとき安心して処分できます。
EcoFlow(エコフロー)
DELTA 2(DELTAシリーズ中、もっとも軽量タイプ)
容量 | 1,024Wh |
定格出力 | 1,500W |
出力ポート |
AC×6 DC×9 USB-C(100W) x2 DC5521 x2 |
AC充電 (急速充電) |
50分で80%充電 80分で満充電 |
ソーラー充電 | 最大入力500W, 11~60V, 15A |
出力波形 | 正弦波 |
重量 | 約12kg |
サイズ | 40.0 x 21.1 x 28.1 cm |
EcoFlow(エコフロー)のポータブル電源は、DELTA とRIVERの2種類です。
全体的に、DELTA のほうがRIVERよりも重量があり、容量も多い傾向です。
使用する電気が少ない1泊程度であればRIVERでも十分ですが。この記事では容量が多いDELTAシリーズのうちの1台を紹介します。
EcoFlowはポータブル電源のほか、ポータブル発電機や専用のエクストラバッテリーも発売しています。
同シリーズで揃えれば、長期のアウトドアでも発電機に接続して電源を確保したり、エクストラバッテリーで容量を拡張したりできます。
シリーズの特徴は独自システムのX-Boost(W)に対応していることで、使用する電化製品の電圧を圧縮できる機能を搭載しています。
また、Wi-FiやBluetooth、アプリにも接続でき、遠隔操作も可能です。
シガーソケットやソーラーパネルでも充電できる(専用のケーブルつき)ので、災害や停電になったときにも役立ちます。
公式サイトのエコリサイクルサービス(製品無料回収サービス)では、古くなった製品のほかに故障・破損したEcoFlowのポータブル電源も無償回収しています。
BLUETTI(ブルーティ)
容量 | 268.8Wh |
定格出力 | 600W(瞬間最大 1,200W) |
出力ポート |
AC×2 5521出力×2 シガーソケット×1 USB-A出力×2 USB-C ×1 ワイヤレス充電×1 |
AC充電 | 100V,430W Max |
ソーラー充電 | 2V~28V,200W Max |
出力波形 | 純正弦波 |
重量 | 4.6kg |
サイズ | 25.5×18×18.3cm |
BLUETTI(ブルーティ)のポータブル電源にも、容量やサイズで幅広いバリエーションがあります。
ここで紹介するBLUETTI EB3A 小型ポータブル電源は、ハンドバッグ程度のサイズでありつつも、多機能な点が魅力です。
他社製品と同じくACやUSB、シガーソケットなどの出力ポートに対応しているほか、ワイヤレス充電機能も搭載しています。
ワイヤレス充電可能なモバイル端末を使用している方なら、ほかの電化製品で出力ポータルがうまっていても、スマホを充電できます。
拡張バッテリーの接続で容量拡張にも対応しており、公式サイトでセット購入すると無料で接続用ケーブルももらえます。
接続した電化製品が停電によって電力供給できなくなったとき、自動で予備電源に切り替えてくれるUPS機能(無停電電源装置)つきです。
予期せぬ停電や端末のバッテリー切れによるデータ損失への対策に、カフェなどでリモートワーク中の予備電源としても活用できます。
BLUETTIの公式サイトには、無償回収や下取りサービスの案内がありません。
代わりにオンライン修理受付サービスを行っており、故障や充電の劣化など異常について相談できます。
PowerArQ(パワーアーク)
容量 | 135,000mAh |
定格出力 | 500Wh |
出力ポート |
AC×2 USB Type-A×4 USB Type-C×1 ワイヤレス充電×1 |
AC充電 | 300W |
出力波形 | 正弦波 |
重量 | 6.2kg |
サイズ | 26×19.1×19.5cm |
PowerArQ(パワーアーク)は、急速充電に対応したワイヤレス充電機能(7.5~10W)や520ルーメンのLEDライトなどを搭載した、多機能なポータブル電源です。
付属のケーブルを使用してシガーソケットでも充電できるので、車でのキャンプを検討している方に向いています。
MPPT方式もあるので、別売りのソーラーパネルを使用すれば太陽光発電を最大化できます。
50Hz/60Hz両方の周波数に対応しており、電化製品に合わせて切り替えることで無駄な電力消費を抑えられます。
カラーバリエーションは6色(ジェットブラック、チャコール、レッド、オリーブドラブ、スノーホワイト、コヨーテタン)あり、おしゃれ重視の方にもおすすめです。
古くなったPowerArQを買い替えるときは、公式サイトなら下取りサービスで手軽に処分できるメリットもあります。
まとめ
ポータブル電源・ポータブルバッテリーは、キャンプに必ずしも必須というわけではありません。
しかし野外でも使用できる電源があると、キャンプ先でも過ごし方の選択肢が増えたり、食事や就寝時の環境を快適にしたりできます。
キャンプ時以外も、災害時などさまざまな場面でポータブルバッテリーは役立ちます。
荷物量に多少の余裕がある方は、ポータブルバッテリーの購入も検討してはいかがでしょうか。