複数名と出かけたり、ソロキャンプで荷物を多く持ち込んだりしたいときは、自動車でキャンプ場まで乗り入れるのが便利です。
キャンプ好きの方の中には、「新しく買う車はアウトドア向きのタイプが良い」と考えている方も多いのではないでしょうか。
この記事では「アウトドア用に4WDを購入すべきか?」に触れつつ、キャンプに適した車種や選び方を紹介します。
キャンプに最適な車種は4つ
車のボディタイプの名称は、どのメーカーもほぼ統一しています。
主な車種といえば、セダン、ワゴン、ミニバン、SUV、軽自動車など。
数ある車種の中でも、キャンプに向いているのは下記の4つです。
- SUV
- ミニバン
- ピックアップトラック
- 軽自動車
それぞれの車種について、特徴やキャンプに利用した場合のメリット・デメリットを紹介します。
SUVはオフロードの走行に強いのが魅力
ボディタイプの特徴 | 地面から車体までの高さが高めに設計 |
おすすめのシーンや用途 | 山奥のキャンプ場などオフロード走行が多い方向け |
SUVとは、スポーツ・ユーティリティ・ビークル(Sport Utility Vehicle)の略で日本では「スポーツ用多目的車」とも呼ばれています。
最近はクロスカントリーSUVよりもクロスオーバーSUVのほうが多く、街乗り時の乗り心地も考慮されているのが特徴です。
【メリット】
- オフロードでも車体が地面に接しにくい
- クロスカントリーSUVなら耐久性も高い
- 車体が高い=視点が高いので遠くまで見渡しやすい
- 積載量にも優れている
- 買い替え時のリセールバリューも期待できる
【デメリット】
- クロスカントリーSUVよりも走破性は低くなる(クロスオーバーSUV)
- 車体が高い=子どもは乗り降りしづらい
- 高さ制限のある駐車場には入れない場合が多い
- 購入から維持までコストがかかる
クロスオーバーSUVの場合、クロスカントリーSUVよりも走破性は低くなります。 車体が高いなどSUVならではの特徴は共通しており、オフロードでも快適に走行できるメリットがあります。
ただし車体が高いことは子どもにとっては乗り降りしづらいデメリットともいえるため、ファミリーキャンプには向いていません。
街中で乗るときは、タワー式など高さ制限のある駐車場では利用を断られる場合があることも考慮しましょう。
費用面を言えば、購入から維持までコストがかかる点も慎重に購入を検討すべきポイントです。
ミニバンは大人数でのキャンプも楽しめる
ボディタイプの特徴 | 車高が高くラゲッジスペースが広い |
おすすめのシーンや用途 | ファミリーなど大人数でのキャンプ 荷物が多い方のソロキャンプ |
ミニバンには、明確な定義がありません。 日本国内では、一般的に3列シートのワゴンタイプ(フルサイズよりも車体や排気量が小さいバン)をさします。 車高が高く広い荷室があるため、アウトドアブームの中で注目されるようになった車種のひとつです。
【メリット】
・荷物の出し入れがしやすい
・街乗りと兼用しやすい
・大きな車の運転が苦手な方でも運転しやすい
・7~8人乗れる
・車中泊できる
【デメリット】
- 燃費は良くない
- 大きいので小回りが利きにくい
車高の高さ、荷室の広さは、積み込んだキャンプギアの出し入れをスムーズにしてくれます。 がっつりアウトドア仕様なデザインでもないため、街乗りと兼用しやすいのも魅力です。
大人数で、気軽にキャンプやBBQに出かけたい方に向いています。
一方で燃費が良くない点や小回りがききにくい点など、普段使いするつもりで購入する方は慎重に検討すべきデメリットもあります。
ピックアップトラックは荷物が多い方に最適
ボディタイプの特徴 | セダンのような室内空間にトラックの荷台が付いた状態 |
おすすめのシーンや用途 | ソロキャンプやカップルなど少人数でのキャンプ |
ピックアップトラックは、セダンとトラックの良い所取りとも言える車種です。 室内空間の快適性を保ちつつも、トラックの荷台で積載量も確保しています。
荷台には屋根がないため、サーフボードなどキャンプ用品以外のアウトドアグッズも容易に載せられます。
【メリット】
- 積載量が多く荷物をたくさん積める
- ボートなど大きなものもけん引できる
- 貨物自動車に分類されるため、パワフル
【デメリット】
- 2シートしかない
- 2人追加で乗るタイプもあるが、狭い
- キャノピーを搭載すると、後方が見えにくい
- 立体駐車場の高さ制限に引っかかることがある
ピックアップトラックはボートなどのけん引にも適しており、少人数でのアウトドアに適しています。
しかし、2シートしかないので、ファミリーキャンプなど大人数でのお出かけには向いていません。 エクストラキャブタイプを購入すれば後部座席が2人分増えますが、狭いうえ座席数が増える分、荷台の大きさが小さくなります。
また、荷台の活用方法にも注意が必要です。
たとえば荷台にキャノピーを搭載すると、後方が見えにくくなったり立体駐車場の高さ制限に引っかかったりすることがあります。
軽自動車はコストを抑えて気軽に乗り回せるのが魅力
ボディタイプの特徴 | セダンからワゴンまで種類が多い |
おすすめのシーンや用途 | ソロキャンプやカップルなど少人数でのキャンプ |
軽自動車は、日本国内における自動車規格の中でもっとも小さい規格の車両です。 さまざまなボディタイプがあり、セダン系やハイトワゴン系、ワンボックス系など多岐にわたり、個性的なデザインの製品も販売されています。
キャンプ向きなボディは、ハイトワゴン系やワンボックス系など車高が高く荷室が広いタイプがあげられます。
【メリット】
- 荷物を多く積める
- 大人でも足を延ばして車中泊できる(フルフラットタイプ)
- 高速走行も快適なので遠出できる(ターボエンジン搭載車なら)
- 購入から維持までコストが安い
- 室内空間が広くとられたタイプなら車中泊も快適
【デメリット】
- 車中泊はできるが広いとはいえない
- ほかの車種に比べると走行性が劣る
- ほかの車種に比べると収納スペースが狭い
軽自動車の魅力は、購入から維持までコストが安い一方で、ボディタイプによっては荷物を多く積んだり車中泊したりと実用性が高いことです。
以前は高速道路での乗り心地がデメリットでしたが、近年販売されているタイプは快適性も向上しており、ターボエンジン搭載車なら遠出にも適しています。
ただし、あくまで軽自動車は最小規格の車両です。 普通車に比べると走行性は若干劣る傾向にあります。
キャンプ用の車は4WDを選ぶべき?
キャンプ場と一口にいっても、ロケーションはさまざまです。
オートキャンプ場ならアクセスしやすいように整備されていることも多く、軽自動車でも気軽に乗り入れられます。 キャンプ用を想定していても、必ずしも4WDを購入する必要はありません。
ただし、下記にあげる特徴に当てはまる方は、4WDも検討してみてはいかがでしょうか。
- アップダウンの大きな道など、悪路を通ることが多い
- 林間走行が当たり前のキャンプ場を利用することが多い
- 雨が降った日の翌日など、道がぬかるんだキャンプ場に行くことが多い
また、キャンプ以外のアウトドアも好んでいる方も、4WDを視野に入れても良いでしょう。
アウトドアに車で出かけることが多いなら、今は上記のようなことがなくても、将来的にあてはまる可能性があります。 必要性を感じてから買い換えるのではなく、最初から4WDを購入しておく選択肢もあります。
SUVやピックアップトラック、ミニバンの4WDなら、大荷物でのキャンプでも安心です。 200mm以上の地上高なら、悪路でもボディが道に擦れる心配はありません。
キャンプ用の車の選び方
キャンプなどアウトドアで利用することが多い場合、車の買い替え時は下記の5つを意識して選びましょう。
- 積載量
- 車高
- 設備・車内空間
- 駆動方式
- 走行性能
各ポイントでどのような点を重視すべきか、詳しく解説します。
積載量
アウトドアでは、ラゲッジ(荷室)の大きさや積み込む荷物の量を参考に、目的に合った積載量のある車を選ぶことが大切です。
普段は通勤や買い物に使用する予定(街中で目立つデザインや大きさは避けたい)なら、ルーフキャリアやヒッチキャリアで必要時のみ後付けする方法もあります。
ルーフキャリアとは、車の屋根に取り付けるタイプの荷台です。ルーフキャリアを購入するときは、車の屋根の形状やルーフレールの有無を調べたうえでマッチするタイプを選びましょう。
ヒッチキャリアは、車の後部に取り付けるタイプの荷台です。 ルーフキャリアと同じく、手軽に車の積載量を増やせます。
車の上に荷物を上げるルーフキャリアは取り扱いが難しい・面倒だと感じる方も、ヒッチキャリアなら少ない負担で荷物を積み下ろしできます。
車高
キャンプ利用の自動車は、基本的に車高が高いほうがおすすめです。 車高が高いほうが走破性に優れており、反対に車高が低いと、道に落ちている石や木で車体が傷つくことがあります。
林間走行や悪路が想定されるキャンプは、愛車を傷つけるリスクの少ない、車高が高いタイプが安心です。 キャンプ向きのデザインも意識して選ぶと、より楽しみが増します。
設備・車内空間
設備や車内空間は、用途に合わせて選びましょう。
たとえば下記に当てはまる方の場合は、車中泊もできる広さを確保したいところです。
- 車中泊を前提としたキャンプ
- 長距離移動が必要なキャンプ
- 悪天候となりやすい時期のキャンプ
大きめのワゴン車のほか、シートをフラットにできるタイプなら快適に車中泊できます。
車内空間に余裕があればベンチタイプのチェアやストーブ、発電機、クーラーボックスなど場所をとりやすい荷物も多く積み込めます。
駆動方式
車の駆動方式は、下記の5種類に分けられます。
FF | 前輪駆動 |
FR | 後輪駆動 |
4WD | 四輪駆動 |
RR | リアエンジン・リアドライブ |
MR | ミッドシップエンジン・リアドライブ |
FFはフロントエンジン車のことで、前輪駆動が特徴です。 エンジンとハンドルに連動する車輪(駆動輪・総舵輪)が同一であり、車両のフロント部分に主要部が集中しているため、室内空間を広くとりやすいタイプです。
反対にフロントエンジンの駆動部を車両後方に伸ばしたタイプを、FR(後輪駆動)と呼びます。 駆動輪と総舵輪が分かれているため、スポーツカーなど運動性にこだわる車種に採用されやすい駆動方式です。
アウトドア向け自動車の定番とも言える4WDは、四輪駆動車です。 四輪すべてを駆動するためオフロード走行に適しており、シーンに合わせて二輪駆動と切り替える「パートタイム4WD」と常に四輪駆動の「フルタイム4WD」が存在します。
RRはリアエンジン・リアドライブの略で、FFとは反対にエンジンと駆動輪の両方が後方に配置されたタイプです。 少ないハンドリングで操作できるメリットは、テクニックを要するため、現代ではRRがほとんど採用されていません。
MRはミッドシップエンジン・リアドライブのことで、エンジンや駆動輪を後方に配置したタイプです。 FRよりも後輪に近い位置にエンジンを配置しており、バランスを取りやすいのが特徴です。 一方でRRと同じく運転にテクニックを要するため、スポーツカーやレーシングカーなど限られた車にのみ採用されています。
初心者向けのキャンプなら、4WDにこだわる必要はありません。 ただし、もっともキャンプ向きなのはやはり4WDです。
雪道や凍結した道、舗装されていない道、雨の後のぬかるんだキャンプ場でも難なく走行できます。 ただし4WDはキャンプに関するメリットが多い一方で、購入時や維持にかかるコストが高いので、慎重に選びましょう。
走行性能
遠方のキャンプ場にも訪れる予定がある方は、走行性能が安定しているかも重視したいポイントです。
長距離を走っても、運転時の制御が安定しているなら疲れにくいメリットがあります。 万が一のときの安全機能も充実していると、ファミリーキャンプ時も安心です。
車でキャンプするときの注意点
車でキャンプ場を訪れる場合、多くの方がサイト付近まで乗り入れられるオートキャンプ場を選ぶのではないでしょうか。
注意すべきポイントは、「オートキャンプ場のすべてが乗り入れ可能とは限らないこと」です。
オートキャンプ場でも、車の乗り入れ範囲が限定されていることがあります。 事前に各キャンプ場のルールを確認して、自家用車の車種でも乗り入れ可能なところを選びましょう。
また、オートキャンプ場だからといって、車中泊が許可されているとも限りません。 トラブル防止目的で車中泊を禁止しているオートキャンプ場もあるため、乗り入れの可否とともに事前に確認しておくことが大切です。
まとめ
アウトドア好きな方のすべてに、4WDが適しているわけではありません。
ファミリーやグループで楽しむのか、車中泊も視野に入れているのかなど、重視するポイントやキャンプの目的によっては、ほかの車種で十分な場合もあります。
何より、購入後のメリットだけではなく、維持費やデメリットも考慮して車を選ぶことが大切です。