アウトドア用クッカーをシーズニングするのはなぜ? 必要なものや手順、疑問について解説

キャンプや野外で調理する時に必要になるアウトドア用のクッカー。
色んな種類のクッカーから自分の好きなものを選ぶのも楽しさのひとつです。

ですが物によっては使用する前にシーズニングが必要になる場合があります。
シーズニングって何だろう?という基本的な疑問から、その手順まで解説していきます。

アウトドア用クッカーでシーズニングが必要な理由は?

野外で美味しい料理を作るために必ず必要になるもの、それがクッカー(調理器具)です。
新品のクッカーを使う時に必要になるのが洗浄とシーズニングです。

金属製品はメーカーから出荷時に錆が浮かないように錆防止のワックスが塗られています。
これをちゃんと洗い流さないと料理をした時に機械油的な嫌なにおいや味が移ってしまいます。

ですが、防錆剤を洗い流すということは錆が浮いてくるリスクが生まれてしまいます。
主にダッチオーブンやスキレットなどの鉄製のクッカーは性質上どうしても錆が浮いてしまいます。

それを予防するため油でクッカーをコーティングすることがシーズニングです。

シーズニングをすることで料理がしやすくなり、道具を長持ちさせることができます。
錆が浮きにくくなるので結果的にメンテナンスも楽になります。

大変な錆落としの手間が軽減されるのでシーズニングをしましょう。

どんなクッカーでもシーズニングする必要がある?

シーズニングが必要になるクッカーは基本的に鉄製のクッカーになります。

鉄製の焚き火用フライパン、スキレット、ダッチオーブンなどはシーズニング必須です。

アルミ製クッカーなどは用途によってはメスティンに行うのと同じようにシーズニングをする必要があります。

参考記事:失敗せずにメスティン炊飯をする為の準備とパターン別の炊飯方法を紹介します。

ステンレス製のクッカーも同じく、使用用途によりメスティンと同様のシーズニングをする必要があります。

アルマイト加工されたクッカーはシーズニングの必要がありません。
アルマイト加工の有無は箱や製品詳細のタグ等に記載してあるので参考にしてください。

樹脂製のクッカーなど例外はありますが、鉄製クッカーにはシーズニングと覚えればまず大丈夫です。

シーズニングをするために準備するもの

シーズニングをする上で必要になるものはこちらになります。

  • クッカー
  • オリーブオイル(サラダ油でも可)
  • 中性洗剤
  • パームタワシ(金属タワシは使わないでください)
  • キッチンペーパー
  • バーベキュー網
  • トング
  • 皮手袋(鍋つかみでも可)
  • カセットコンロ
  • 新聞紙
  • くず野菜

シーズニング前に金属タワシで洗うとクッカーを傷つける恐れがあるので金属タワシの使用は避けましょう。

微細な傷があるとシーズニングのムラの原因になります。

シーズニングを行う手順を解説

ではシーズニングの手順をご紹介します。
手順を守れば初心者の方でも難しくありません。

1.シーズニングするクッカーを洗剤で洗う

まずシーズニングするクッカーにこぼれない程度の水を張り軽くガス火で加熱します。

沸騰までさせなくても40〜50度程度の温度になれば大丈夫です。
お湯の力で錆止めワックスを落としやすくする効果があります。

タワシと中性洗剤でしっかり全体を洗います。
側面、裏面、取っ手の部分もしっかり洗い流して下さい。
全体が脱脂された状態にしましょう。

2.水分が蒸発するまで空焚きする

洗い終わったら火にかけて空焚きします。

この時火力を上げすぎないように気を付けましょう。
ゆっくりと加熱することで丁寧に錆止めワックスを燃焼させていきます。

クッカーから煙が出てきますが煙が止まるまでしっかりと焼き上げます。
煙がおさまるとクッカーが黒っぽく変色しています。

これで空焚きは完了です。

この際、スキレットの蓋など付属品を加熱する時にバーベキュー用の網が役に立ちます。
コンロの上に載らないサイズの物は網の上に置くと加熱しやすいです。

クッカーが冷める前に次の作業にうつります。

3.クッカー全体に油を塗る

皮手袋など火傷しにくい手袋をはめてオリーブオイルをキッチンペーパーで塗っていきます。
この際トングを使用すると安全です。

あまり厚塗りしすぎないように気を付けながら全体に塗っていきます。
この後も複数回焼き入れと塗りを繰り返すので塗りすぎると油が燃えて危険です。

滴らない程度の量を丁寧に塗りましょう。

4.再度空焚きする

オリーブオイルを塗り終わったら手で触れる程度の温度になるまで放置して粗熱を取ります。

その後再度弱火で加熱をしていきます。
当然ですが塗った油が燃焼する恐れがあるので決して火元から離れないようにしましょう。

5.煙が出たら火を止め油を塗るを繰り返す

煙が出たら火を止め油を塗り、粗熱を取ったら再度火にかける。
2~4で説明した行程を繰り返していきます。

煙が出なくなるまで何度か繰り返しましょう。

油を塗る際はこまめに新しいキッチンペーパーを使うようにしてください。

何度も使うとキッチンペーパーの繊維がぽろぽろとついてしまいます。
さらに空焚きした後のクッカーには黒い煤のような物が浮いてきます。

それを落とすためにも必ず新しいキッチンペーパーを使いましょう。

6.くず野菜を炒める

空焚きが終わり、煙が出なくなったら次の工程に入りましょう。

鉄くささを取り、油膜をつくるためにくず野菜を炒めます。
玉ねぎのヘタや人参や大根の皮など野菜なら何でも良いのですが、香りの強い根菜が適しています。

くず野菜を軽く焦げ目がつくまで炒めて下さい。

鉄製のクッカーは使えば使うほど油膜が貼られて使いやすくなっていきます。
未使用の状態でもシーズニング後にこうして使用することで油膜ができて美味しい料理を作ることができます。

炒めたくず野菜は油のにおいが強いので捨ててください。

7.最後に油を塗り冷えれば完了

野菜を炒め終わったら軽くキッチンペーパーでふき取り再度油を塗りましょう。
薄くコーティングするようにムラなく塗るのがポイントです。

これでシーズニングは完了です。

他の道具に油がつかないように新聞紙などで包んでおくと良いでしょう。
新聞紙などの繊維が粗い紙は水分を吸着するので錆の予防にもなります。

シーズニングを行う際の注意点

シーズニングを行う際に気をつけておきたい注意点を説明します。

シーズニング中のクッカーは火を使い高温になるので、命にかかわる事故に繋がる場合もあります。
注意点をよく把握してシーズニングしてください。

ムラにならないよう、油を塗る量に注意する

油を塗る際に厚く塗りすぎると油が酸化して粘性が高くなり固体化してしまうことがあります。
そうなるとシーズニングした際の油膜にムラができてしまい錆の原因になってしまうので注意しましょう。

必ずキッチンペーパーで薄く伸ばすように油を塗って下さい。
塗りすぎてしまった時には新しいキッチンペーパーでふき取りましょう。

熱されたクッカーを急激に冷やさない

熱されたクッカーに水をかけるなどして急激に冷やすのはやめましょう。
金属の性質的に急激な温度変化でヒビが入ってしまったり、割れの原因になります。

クッカーを冷ます時はあせらずゆっくりと常温で冷ましましょう。
これは鉄製以外のクッカーも同様なので注意しましょう。

空焚きはカセットコンロを使う

クッカーを空焚きする時はカセットコンロを使うのがおすすめです。

家庭用のコンロは安全装置が搭載されていることが多く、クッカーの温度が上がると非常停止する事があります。
なのでしっかり空焚きする時はカセットコンロが適しています。

ただ、カセットコンロは燃料缶が火のすぐ近くにあるので注意が必要です。
燃料缶カバーの上まで火が出ないように調整しましょう。

同じく燃料缶カバーの上に熱されたクッカーなどを置かないようにしてください。
カセットコンロの温度には常に注意を払うようにしましょう。

シーズニングに関する疑問点を解消

シーズニングはできたけど管理はどうすれば?という疑問を解消します。

ちゃんと管理するとシーズニングの効果は長持ちするので参考にしてください。

シーズニングしたクッカーを洗う際は洗剤を使ってよい?

基本的にはスポンジやタワシを使い水やお湯で洗いましょう。
お湯につけこんでおくと焦げつきも比較的簡単に取ることができます。

洗い終わったら空焚きして油を塗りくず野菜を炒めて軽くふき取り油を塗り保管します。
これで次回使う時に錆に苦しむこともありません。

しばらく使わなかったクッカーが臭い場合は洗剤を使ってよい?

酸化した油は独特の匂いを出します。
前回使用時に油を塗りすぎたのかもしれません。

衛生面の問題もあるので、そういう場合は洗剤を使ってしっかり洗いましょう。

ただし洗剤を使って洗うと油膜が剥がれてしまいます。
なので再度シーズニングをしましょう。

洗剤で洗って、シーズニングせずに放置すると錆だらけになっている可能性があります。
洗剤洗いしたら必ずシーズニングすることを覚えておいて下さい。

食材がくっつき出したら、再度シーズニングしたほうがよい?

食材がくっつく原因は前回使用時の焦げ付きが落ち切っていない場合が多いです。
鉄製のクッカーは一度くっつき出すと癖づいてしまう可能性があります。

その場合は洗剤とパームたわしを使って一度しっかり洗いましょう。
その上で再度シーズニングをして下さい。

そうすればクッカーの状態はリセットされて何度でも使えるようになります。

まとめ

シーズニングする理由とその方法について解説しました。

鉄製のクッカーはシーズニングの手間はありますが、使い育てる最高のクッカーの一つです。
メンテナンス含めて上手く使い続けていけば、決して焦げないクッカーに育つ場合もあります。

数百円のスキレットでも、一万円のダッチオーブンでも一生モノの道具になる可能性を秘めています。

皆さまも是非、シーズニングで愛用のクッカーを作り上げてみてください。

タイトルとURLをコピーしました