キャンプ場を開設する際に必要な免許や運転資金の目安とは

山林の固定資産税は宅地に比べると安価ですが、伐採など維持費を考えると、少しでも収益化したいものです。

利用する機会のない山林を持て余しているなら、キャンプ場として収益化する方法があります。

キャンプ場の開設は素人でもできる?
キャンプ場の開設で必要な免許や許可とは
キャンプ場の運転資金はいくらくらい?

今回は上記3つのポイントに注目して、個人所有の山林でキャンプ場を開設する場合の必要な免許、許可、運転資金について紹介します。

キャンプ場を開設するために必要な免許や許可

キャンプ場を開設するにあたり、整理しておきたいのが必要な免許や許可の情報です。
どのような免許や許可が必要になるのかは、開設したいキャンプ場の形態や面積によって異なります。

ここでは各形態で必要となる免許や、面積に応じて必要となる許可について解説していきます。

コテージやグランピングをするなら旅館業の免許

キャンプ場と一口にいっても、利用者に一からテントを張ってもらう場合もあれば、手軽さを重視したコテージやグランピングテントを設置する場合もあります。

利用者が自らテントを張る場合は必要ありませんが、以下のような設備は簡易宿泊所の扱いとなるため、旅館業の免許が必要です。

コテージ
ロッジ
バンガロー
グランピングテント
トレーラーハウス(設置状況などによる)

無許可営業を行った場合、6か月以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、あるいは両方が課せられます。

旅館業の免許は、各都道府県の旅館業法担当窓口に必要書類の提出と手数料の支払いを行い、審査に通過した場合のみ取得できます。
審査落ちを防ぐために、各都道府県は事前相談を推奨しているため、キャンプ場開設を検討している方は「うちの設備は旅館業の免許は必要なのか」を含めて相談してみましょう。

食材や料理の提供をするなら飲食店業の許可

最近は手ぶらで利用できる、食材や料理の提供サービスつきのキャンプ場も人気です。
近隣に食料を購入できる商業施設がない地域では、とくに食材や料理の用意は喜ばれます。

ただし、仮に未調理の食材のみを提供するのであっても、飲食店業の許可が必要です。
飲食店業の許可は、各市区町村の保健所、生活衛生関係の窓口に申請して取得します。

また、バーベキュー施設や飲食店を設置する場合は、消防署へ防火対象物使用開始届を行う必要もあります。

飲食店業の許可には食品衛生責任者と水質検査の実施が必須

飲食店業許可証の申請要件には、各施設に1名以上の食品衛生責任者の配置が含まれています。

食品衛生責任者の資格は、各自治体が開催する講習会を受講することで誰でも取得が可能です。

ちなみに以下のいずれかに該当する場合は、特定の講習会受講を修了していなくても、食品衛生責任者として配置できます。

栄養士
調理師
製菓衛生師
食鳥処理衛生管理者
と畜場法に規定する衛生管理責任者
作業衛生責任者
船舶料理士
食品衛生管理者
医師
獣医師
歯科医師
薬剤師
学校教育法に基づく大学で、特定の課程を修めて卒業した者(※1)

(※1)医学・歯学・薬学・獣医学・畜産学・水産学・農芸化学いずれかの課程

キャンプ場によって、上水道を使用することもあれば貯水槽や井戸水を使用することもあるでしょう。
上水道以外の水を使用する場合は、水質検査も実施しなくてはなりません。

瓶や缶のアルコールを売るなら酒類販売業免許

収益性を上げるなら、アルコール類の販売も視野に入れたいところです。
ただし提供方法によっては酒類販売業免許や、深夜酒類提供飲食店営業の届け出が求められます。

シチュエーション別に必要な免許や届け出の有無を解説すると、以下のとおりです。

瓶や缶の状態で販売する:酒類販売業免許が必要
紙コップなどに注いで販売する:免許は不要
料理と一緒にグラスで提供する:免許は不要
深夜0時以降も販売する:深夜酒類提供飲食店営業の届け出が必要

飲食店で提供する場合は、飲食店業の許可が別途必要です。

飲食店業の許可と異なり、酒類販売業免許は税務署へ申請するため、申請忘れや申請先の間違いに注意しましょう。

1ha以上の伐採をして開発を行うなら、林地開発許可が必要

キャンプ場を開設するためには、利用客がテントを張れるような平坦地を設ける必要があります。

整地のために伐採を行う場合は、面積に応じて林地開発許可を得なくてはなりません。
伐採面積が1ha以上となるのであれば、市区町村の森林保全係や、林業振興課などの窓口で林地開発許可を申請しましょう。

許可が下りるまで3か月弱かかることもあるため、キャンプ場の開設に伐採が必要だと思ったら、早めに申請しておくことをおすすめします。

1ha以下の場合も届け出と報告は必要

1ha以下であっても、伐採や開発を行う場合は事前の届け出と報告が必要です。

小規模林地開発届と、伐採及び伐採後の造林届出書の提出を行い、許可を受けてから伐採や開発を始めましょう。
個人所有の森林であっても届け出は義務付けられており、届け出を行わないまま伐採や開発を行うと、150万円以下の罰金が課せられることがあります。

また、整地後は小規模林地開発完了届出書を提出し、届け出ていた作業を終えたことを報告します。

キャンプ場を開設するための運転資金の目安とは

キャンプ場の開設は、前述のような各種手続き・資格や許可の取得に加えて、資金面の計画も立てなくてはなりません。

キャンプ場を開設するために必要な資金の中でも、代表的な3項目について目安となる金額を紹介します。

キャンプ場として使う場所の土地代

まず必要なのが、キャンプ場を開設する場所の土地代です。
ある程度の自然を有する地域ともなれば、必然的に郊外の山林となるでしょう。

接道状況や面積、場所などで左右されますが、費用は安くて200万円前後、広くても3,000万円程度となります。

静岡県の約11haの山林:約470万円
和歌山県の約68haの山林:約3,100万円
兵庫県の約4haの山林:約200万円

実際に不動産会社が販売している山林の価格を見ると、上記のとおりでした。

人によっては親戚から相続したり、知り合いから無料または格安で譲り受けたりするケースもあるでしょう。
このような場合も、入手方法にかかわらず、名義変更のための登記所費用が別途発生します。

重機などを使った整地代

整地にかかる費用は、手作業をメインとするか、重機も使用して大がかりに行うかで異なります。

ほとんど開けた土地でわずかな木を伐採する程度であれば、電動ノコギリなどを購入して手作業で済ませられます。
この場合、かかる費用は農具や工具代が主で、10~20万円程度です。

広範囲の整地や多くの木を伐採する必要がある場合、重機を投入したほうが効率良く進められるでしょう。
重機を使用した場合の整地代は、重機のレンタル代で1台あたり3万円前後、作業料金は掘削、残土処分、砕石・転圧ひと通りの作業で1平方メートルあたり3,000円程度が目安です。

作業現場までの道が極端に狭いなど、重機の乗り入れが困難な場合は、追加料金が発生することもあります。

受付やシャワー設備を備えた管理棟の建設

利用者にテントを張ってもらうキャンプ場が、もっとも開設費用を抑えられる運営形態です。
ただし受付やシャワーなど、最低限の設備を備えた管理棟の建設くらいは視野に入れたいところです。

管理棟の規模や設備の内容によって建設費用は左右されますが、某リゾート会社の事業計画を参考にすると、以下のとおりでした。

管理棟建設費:1,000万円
管理棟家具:50万円
管理棟家電:30万円
管理棟厨房器具:100万円
備品:20万円

家具や厨房器具なども含めると、約1,200万円が目安となります。

ただし上記の例にはシャワーなどの設備がどの程度含まれているのかは明記されておらず、設備によっては更に費用が発生する可能性があります。

大きく投資する前に、まずはお客さんが集まりそうかを調べましょう

アウトドアブームも影響して、キャンプ場は土日を中心に高い需要が見込めます。
一方で、本格的なキャンプ場を開設するとなると、面倒な手続きや莫大な初期費用がかかるリスクもあります。

「お金をかけてキャンプ場を作ったとして、うちの土地が収益化できるか不安」という方は、ソロキャンパー向けのレンタルから検討してみてはいかがでしょうか。

山林所有者とソロキャンパーのマッチングサービスを提供するYAMAKAS(ヤマカス)なら、山林を軽く整備した状態で貸し出すことができます。
YAMAKASへの掲載料は無料のため、宣伝費用をかける必要もありません。

ソロキャンパー向けのレンタルを試してみて、お客さんが集まりそうであれば、本格的にキャンプ場として開発してみるという選択肢もおすすめです。

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